模型、CG、図面、ダイアグラムなどは設計の説明をするうえで有効な手段である。特に模型はプレゼンテーションはもちろん三次元によるスタディのツールとしても必要不可欠である。50分の1あるいは10分の1など詳細にわたってスタディをすることでリアルな建築との差異を可能な限り最小化し、これから立ち上がろうとする建築をシミュレートすることが出来る。
しかし実際に立ち上がった建築と模型では決定的に違う点がある。それは実際の建築は強力な存在感をもつということだと思う。模型は表現の仕方によっては非常に繊細で抽象的なものも作ることが出来るが、実際の建築は多くの費用と時間を費やしそこに関わる多くの人間の膨大な労力をもって実現に至る。使用される建材も鉄、コンクリート、木など確かな存在感をもつものを必要とする。
弱い建築、軽い建築など概念としては理解できるが実際に立ち上がる建築の存在はかなり強力だ。建物の存在感を消そうと全面ガラスにしようと、全ての壁を白く塗ろうと確かなリアリティをもって建築は存在する。それは模型やCGや図面では決して得ることの出来ないものかもしれない。
設計する際コンセプチュアルに建築を考えるあまり抽象的表現に走ってしまい、リアルな建築の姿を想像しにくい状況に陥ってしまっているのかもしれない。もちろん素材のスタディも行うだろうが、素材は素材で美しければ良いというような建築全体のイメージから切り離され、コンセプトを補完するような関係になっていないのではないか。
別にコンセプチュアルに建築を考えるのが悪いというではなく、抽象的なコンセプトをいかにリアルに表現するか、バーチャルとリアルのギャップをどう埋めるかというのはすごく重要だと思う。

写真は(多分)ポルトガルで行われたPeter Zumthor展のもの。リンク先は忘れた。すいません。
あと余談になりますが、アカデミー賞を受賞した「つみきのいえ」(監督 加藤久仁生)がすごくよかった。
機会があったら見てみてください。