7.2.09

理解し難いもの

小説やエッセイ、論文などでその意味内容がなかなか理解出来ず、読んだあと何か違和感が残るようなものがある。そういうのは現在の自分のパラダイムを見直すいい機会になると思う。理解困難=難しいではない。
難しい専門用語やら概念を並べて書かれてあるものというのはそれほど重要ではない。そういった類のものは一見目新しいこと言っているようで、その構造というか中身をよくよく見直してみると実は当たり前の事実をもっともらしく見せているに過ぎないものが多いような気がする。
心理学の中に行動分析学という分野があって、そこでは「節約の原理」が徹底されている。

ある事象に対する説明の仕方が複数ある時、どれがもっとも優れた説明であるかを決める基準の1つに「節約の原理 parsimony」がある。ある事象を説明する際に、使われる概念は少なければ少ないほど、よい説明であるとするものである。つまり、概念をなるべく倹約するということから「節約の原理」と呼ばれる。
中略
「節約の原理」を忘れると、新しい現象を説明するたびに新しい概念を作る必要が出てくる。しかも、それらの多くは循環論で、説明になってない。「多動性が強いから教室内で離席して動き回る」と言われると、もっともらしいと思う人も多いようだが、じっとしていられないで動き回ることを多動というのである。
「行動分析学入門―ヒトの行動の思いがけない理由」杉山尚子著/集英社新書

難しい概念や言葉を多く使って書かれているものは、単語の意味を理解するのにエネルギーを費やしてしまい、読んだことそれ自体に満足してしまいがちである。
自分自身の思考をより深めていこうとする場合、出来れば平易な言葉でもって書かれてはいるけど、何を主張したいのかなかなか理解しがたいようなものがいいと思う。そのように書かれたものは全体からぼんやりとしたイメージは受け取るが、それが何なのかはっきりと掴めないため理解しようと思考を深めていく。その思考を深めていく作業があるからこそ自分なりの理解、意味を得ることが出来る。
これは何も小説などのように書かれたものに限らず、他の表現体についても一緒だと思う。

6 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

納得。

でも一方で、”説明困難”だからこそ建築はそういった言葉が使われている場合もある。

tkngnk さんのコメント...

そして一方で、そういうのって抽象的であってはっきりとしてないから共有言語になりえるってパターンもあるかもね。でも論文じゃだめだね

Unknown さんのコメント...

燃えてるぞCCTV

匿名 さんのコメント...

TVCCのほうらしいよ。

Inomata Teppei さんのコメント...

>todome・gnk
確かに建築に限らずあらゆる分野ってのは、日常生活では使われることの無い独特の概念や言葉を使ってはじめて理解し得ることもあると思う。

けどそれで良しとしてしまっては駄目で、今度はその難しい概念を単純な言葉に翻訳して、共有、循環させるかが大切なんじゃないかな。

>toru・todome
燃えてたね。
OMAはコメントとか出すのかな?

Unknown さんのコメント...

恰好のネタとして出さないわけがないと思うんだよな。